監督:井口昇
撮影:中村夏葉
出演:スマイレージ(和田彩花、福田花音、竹内朱莉、勝田里奈、田村芽実、中西香菜)、小山田サユリ、井上翔、戸田昌宏、和泉宗兵、いしのようこ
2012年 日本 92分カラー
2013.02.28 桜坂劇場ホールCにて
映画度:★/5*
映画度:★/5*
今月(2月)は見る映画がなくなってしまい、1週間以上も映画を見ていなくて「映画館禁断症」に。で、パスするつもりだった井口昇の『デッド寿司』を見た。予想に反してなかなかイケたので同監督の『怪談 新耳袋 異形』を見にいった。結果「失敗×6174の297乗」ってところ。ちなみにこの6174とか297とかいった数字は選んだ数字で、解る人には何の数か解るはず(映画にはまったく無関係)。
この映画、4編からなるオムニバスで、まあ「怖くないか?」と問われればなかなか「怖かった」ですよ。でもただそれだけ。だからさっき「失敗×6174の297乗」と書いたのをちょっとトーンダウンして「失敗×495」くらいにしておきましょうか。
第一話「おさよ」:アイドルが写真撮影のロケで泊まった山中の旅館で深夜幽霊に襲われるお話。
第二話「赤い人」:姉妹が越してきたマンションで姉が赤い人(ゾンビの一種?)に襲われ、そこに妹とその男友だちがやってくるが…。
第三話「部屋替え」:親戚から譲り受けた古い三面鏡に写る謎の老女…。
第四話「和人形」:仲の良い六人組の少女たちだったが、その一人が別の一人をおどそうと安易に使った和人形が…。
どの話も怖いといえば怖いのだけれど、ただそれだけ。92分で四編だから一編20分前後だけれど、それぞれがやはり一本の短編映画になっていて欲しい。第三話にはかすかに夫婦と親子のちょっと笑える関係が描かれ、第四話では女(少女)の嫉妬が描かれてはいたが…。怪談というのはホラー映画と言ってよいのだろうが、ホラーで必要なのは主人公が恐怖体験をするのを描くだけではなく、幽霊とか怪物の身元を描くこと。
それがないなら演じる役者の演技が堪能できることだが、この小娘たちの演技は惨憺たるもの。この娘たちがいかに生きる人として普段感動というものをしていないかが見えて空恐ろしくもある。心からの真の感動ではなく、これは面白いものだから面白い、これは怖いものだから怖いといって具合にしか人生を生きていないのではないだろうか。映画の演技というのは「実際」と同じではないけれど、この娘たちは実際にこうした幽霊に襲われても、こんな程度の恐怖の顔しかできないのだろうか?。
この作品はスマイレージとかいうボクの知らないアイドルグループをフィーチャーした「アイドル映画」でもあるわけだけれど、SPEEDの『アンドロメディア』ははるかに映画していた。SPEEDは社会現象にもなるほどの存在であったわけだけれど、やはりあの4人はアイドルと言われる中でも群を抜いた、ただ者ではない4人だったのだろう。そうそう蛇足だけれど、女子高生の太ももが好きな方にはオススメします。
*註:★5個を満点とした映画度の評価に関しては後日説明の記事をアップする予定。簡単に言えばどれだけ映画的な映画であるかということで、作品の良し悪し・好き嫌いとは無関係。
2013.02.28
ラッコのチャーリー
2 件のコメント:
>女子高生の太ももが好きな方...に笑いました。
観るものがなくなるくらい映画漬けな日々とは、なんと贅沢なことでしょう。このてのホラーはまったく観たことがありませんが、「アンドロメディア」まで鑑賞済みであるなんてさすがです。SPEEDの考察は同感です。彼女たちのような実力派グループは、いまいるのでしょうか。
遅ればせながら、ぶじ沖縄から帰ってましりました。一日雨の日があったくらいで、穏やかな暖かな旅でした。
ゆったり大らかな土地柄に絡みつくように過去の戦争の傷跡が根深く残る土地は、やはりどこにも似ていない印象を受けます。海中道路へいく途中、かなり上空ではありましたがオスプレイが見えました。
それにしても、いつもあんなにステキな劇場で映画を観てらしたのですねー。
>観るものがなくなるくらい映画漬けな日々とは
昨年(2012)は、映画館で258本、DVD等で170本の映画を見ました(←これってバカ?)。
>いつもあんなにステキな劇場で
桜坂劇場自体は、上映作品も良いし、スタッフも感じ良いし、また3つのホールの出入り口を含めてカフェやショップ等をオープンスペースとした作りも良いと思います。でもさらなる贅沢を言えば、小奇麗でなく、オシャレでもない、従来型の映画館に対するノスタルジーもあり、蔡明亮の『楽日』ではないけれど、あんな映画館で映画を見たいという欲求もあります。
>一日雨の日があったくらいで、穏やかな暖かな
北海道からいらっしゃると暖かく、穏やかなのでしょうね。ここに住んでいると寒いと暑いが毎日共存しているような感じです。
>やはりどこにも似ていない印象
台湾映画など見ていると沖縄文化と似たものがあったりします。またそれとは別に日本本土が父権制社会であるのに対して、沖縄は母権的文化が基本のような気がします。
>戦争の傷跡が根深く残る土地
戦争の傷痕という意味では、本土の例えば広島だって悲惨な爆撃を受けた。違うのは広島は「日本の広島」だったのに対して、沖縄はまだ(現在のことは触れないとして)「ヤマトに支配されたウチナー」だったこと。攻撃するアメリカは日本本土攻撃の足がかりにしようとし、また日本はトカゲのシッポのように沖縄を切って捨てた。そしてそれが戦後のアメリカによる支配体制、現在の基地問題に続いている。
コメントを投稿