2013/04/08

『ムーンライズ・キングダム』Moonrise Kingdom

Une brève critique en français au bas de la page.


原題:Moonrise Kingdom
監督:ウェス・アンダーソン
Wes Anderson (Wesley Anderson)
脚本:ウェス・アンダーソン、ロマン・コッポラ
Wesley Anderson, Roman Coppola
撮影:ロバート・D・イェーマン
2012 USA color 94min (ratio 1.85)
出演:ジャレッド・ギルマン、カーラ・ヘイワード、ブルース・ウィリス、エドワード・ノートン、ビル・マーレイ、フランシス・マクドーマンド、ティルダ・スウィントン、ジェイソン・シュワルツマン、ハーヴェイ・カイテル、ボブ・バラバン
Jared Gilman, Kara Hayward, Bruce Willis, Edward Norton, Bill Murray, Frances McDormand, Tilda Swinton, Jason Schwartzman, Harvey Keitel, Bob Balaban
2013.04.06 桜坂劇場ホールAにて


自分としてはかなりのヒット作品。監督がウェス・アンダーソンというのはちょとはあったけれど、あまり期待はしていなかった。『テッド』(IMDb)は人気だけれど、そんなのを観ている間にはこちらをオススメする。『テッド』は観ているときは楽しめるかも知れないが(だからそれはそれで良いのだが)、3日、一週間、一年もたてば何も残らない作品だと思う(特定の映画や映画館の宣伝や営業妨害をする意志はありません)。


この『ムーンライズ・キングダム』は言ってみれば2012年版『小さな恋のメロディ』(IMDb)。12歳のサムとスージーの初恋・純愛物語。1971年の『小さな恋のメロディ』は、実はその前年にスウェーデンのロイ・アンデション(アンダーソン)が撮った『スウェーデッシュ・ラブ・ストーリー』(IMDb)がヒントになっているのでは?、とボクは思っている。この『スウェーデッシュ・ラブ・ストーリー』は日本では短縮版『純愛日記』として『小さな恋のメロディ』と同時上映されたらしいけれど、ベルリン映画祭で金熊賞にノミネートされていた。が70年のベルリン映画祭はベトナムでの米兵によるレイプ殺人事件をテーマにした作品を審査委員長ジョージ・スティーヴンスがボイコットしたことで紛糾し、映画祭は中止になってしまった。奇しくもアンダーソンという同じ名前の監督がとったこの新しい初恋物語、時代設定は70年代の2本の作品よりさらに昔の1965年夏となっている。社会状況、性概念や子供をとりまく様々な環境が変わっている現代を時代設定としては、こういうお話は成り立ちにくいのだろう。


舞台はニューイングランド島。サムはボーイスカウトの合宿でこの島に夏に滞在し、スージーはこの島に住む弁護士夫婦ビショップ夫妻の長女。サムとスージーは一年前に教会で催された劇でスージーが出演し、サムがボーイスカウトで観に行ったときに出会い、それ以来文通を続けていた。サムは両親を失ってから里親に育てられているが、里親はサムにあまり関心はない。スージーの両親は会話としては仕事の話だけで、冷め切った夫婦。寝室のベッドも間にナイトテーブルを挟んだツインだ。サムとスージーはそんな乾き切った大人たちの世界にウンザリしている。ふたりの文通の内容はこのつまらない大人たちの世界から逃れるための駆け落ち逃亡計画。そしてふたりはそれを実行に移す。


この事件は小さな島の大人たちを振り回す。面白いのは当のふたり、そしてそれまではサムをバカにしていたスカウトの仲間といった子供たちが、責任や行動という「大人な」行動をとるのに対して、大人たちは翻弄され、しっかりと自分の責任を全うできないし、たわいのない口喧嘩をするばかりで、実に「子供」として描かれている逆転現象だ。大人たちの住む家をまるでドールハウスをそのまま大きくしたような家として描いているが、これはあたかも操り人形のごとくで実体・実存・生の欠如した大人を浮き彫りしているようだ。子供の方がいかに真剣に生きようとしているかという皮肉がたっぷり。コメディータッチの映画だけれど、コメディーの部分は大人が受け持つと言ってもよいかも知れない。大人たちはコミカルで、子供たちはシリアスなのだ。


結末は途中である程度予想もつくかも知れないありきたりのものだ。でもやはりいつもながら、つまり『小さな…』でも『スウェーディッシュ…』でも、映画初出演の主人公の子役のふたりがとっても瑞々しく魅力的だ。それを支えるようにハリウッドの大スターたちがコミカルな大人たちの役として豪華に登場している。『青少年のための管弦楽入門』などベンジャミン・ブリテンの曲をときにわざと大仰に流す音楽も良い。そんな中で曲種をがらっと変えて、若い(幼い?)ふたりを初めてキスに導くシーンで流されるフランソワーズ・アルディーの使い方も秀逸だ。



*註:★5個を満点とした映画度の評価に関しては後日説明の記事をアップする予定(既に一部アップ済み)。簡単に言えばどれだけ映画的な映画であるかということで、作品の良し悪し・好き嫌いとは無関係。

映画度:★★★★/5*

記事索引

2013.04.08   
ラッコのチャーリー



Un beau film qui raconte le premier amour d'un couple préadolescent (de 12 ans), joli comme les deux précédents des années 70, A Swedish Love Story (Une histoire d'amour suédoise) de Roy Andersson et Melody de Waris Hussein. Les adultes sont décrits comiques et ridiculisés, qui ne savent que de se démonter et de se disputer comme des enfants. Par contre les enfants prennent décision, responsable, et agissent selon ce qu'ils pensent juste et nécessaire. Le jeu de deux jeunes acteurs protagonistes est remarquable en nous donnant de la fraîcheur, appuyé par des grandes stars hollywoodiennes. L' utilisation de la musique de Benjamin Britten est ingénieux et aussi celle de Françoise Hardy. Le décor imitant la maison de poupée symbolise habilement le caractère enfantin et de marionnette des adultes. Un film à ne pas manquer, même si on peut manquer Ted.

(Les étoiles indiquées en haut ne signifient pas mon appréciation du film, mais à quel point, à quel degré le film a le caractère ou attrait cinématographique et non télévisuel.)

(écrit par racquo)






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